2010年03月05日

理系・文系という分け方は間違っている!(4) 〜魔女狩りとファンダメンタリスト〜

神学と科学への正しい理解3.JPG

理系・文系という分け方は間違っている!(1) 〜神学 vs 学問〜
http://rextuseferu.seesaa.net/article/142022140.html
理系・文系という分け方は間違っている!(2) 〜証明が出来なければ皆殺しである〜
http://rextuseferu.seesaa.net/article/142151272.html
理系・文系という分け方は間違っている!(3) 〜神の啓示と自然の創造〜
http://rextuseferu.seesaa.net/article/142426379.html
の続きです。


これに至る歴史を記載しておきたいと思います。

まずユダヤ教(本質的にはお金儲けを許す宗教)がありました。

このユダヤ教の本質はラチオ・リーズンです。
ラチオ(ratio 報酬や利益を求めて人間が行動すること=合理)と、その語源であるリーズン(reason=理想)です。
つまり「金銭欲望(金儲け)のための合理行動」が、=reason 理想ということです。
そのためにはどんな手段でも金儲けを永久に追求するべきだという教えです。

参考文献

金儲けの精神をユダヤ思想に学ぶ

金儲けの精神をユダヤ思想に学ぶ

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2005/01
  • メディア: 単行本





この強欲と拝金のユダヤ教に対して、イエスが「神との恩寵(grace 慈悲、慈愛、無償の愛)」の思想で「人を動物のように扱わないでくれ!人間は愛(グレイス)だ!」と反対して、初期の純粋の愛を説くキリスト教が生まれました。(もちろんムハンマドやお釈迦様も同じことを最初に説いた)
この初期のキリスト教をアリウス派(250〜336年)と言います。

これに対して、アタナシウス派(298〜373年)は三位一体(神と、子のキリストと、聖霊は同じものである)と説きました。
神=キリストという間に、聖霊という意味不明なものを介在させることでキリストの神性を薄めさせたとも言えます。

ここから生まれたのが、キリスト教のカトリックです。

その支配は圧倒的で、生まれて洗礼を受けなければ生まれたことにならないため人間とは認められず、死んでも終油(しゅうゆ)を受けないと死んだことにされないため埋葬もされず、教会で結婚式を挙げなければ夫婦ではなく、その他、裁判、遺言にいたるまで一生のすべてをカトリック教会に管理されていました。

ゆえに、この頃のキリスト教カトリックの僧侶たちの腐敗っぷりは凄まじく、信者(領主・農奴)には聖書さえ読ませずに「ただ自分の言うことだけを聞け」と信仰だけを行わさせ、キリスト教の奇蹟の話を自分たちの都合の良いように利用して聖書とはまるで関係のない勝手な教説を民衆に押しつけていました。

もはや本来のキリスト教ではなく、”キリスト教もどき”が、狂信的な新興宗教(=カルト○、オカルトは=黒魔術の意味だから異なる、この区別は重要。)のような形で広まっていました。

よって民衆側は上辺だけでこの”キリスト教もどき”を行い、本心では土着の神々や悪魔や魔女などの呪術的なもの(オカルト=黒魔術=神秘主義)を信仰していました。

この動きは、都合の良いように奇蹟を利用していたカトリック僧侶の狂信的な”キリスト教もどき”とも、どこか似通っていき、後にマックス・ウェーバーに「呪術(キリスト教もどき)からの解放こそが資本主義の発生する条件である」と批判されます。

例えば、日本においても日本仏教の総本山である比叡山の僧兵が、朝廷(天皇)もどうしようもできないほど強かった時代、この僧兵が強訴の際に押し立てたのは、法華経でも曼荼羅でもなく、日吉(ひえ)神社の神輿でした。
実はあまり知られていないことですが、日本仏教の総本山でも、本当に信仰しているのは仏様ではありません、日本古来の神様です。

中世のヨーロッパもこの形に近かったのです。
そして、この中世末期から近世初期にかけて起こったのが、あの有名な「魔女狩り」です。
魔女狩りでは、呪術的なことを行う人(今で言う占い師や霊能力者)などを残酷に大虐殺しました。これは宗教改革によって呪術的な”キリスト教もどき”が潰され、”本格的な本来のキリスト教”が徹底されたためです。

意外なことに、ルターが「こんな禁欲的なカトリックはもう嫌だ!俺はもうカトリックの抑圧から解放されたい!」と言ってキリスト教プロテスタントを生み出したことを発端とする宗教改革によって、逆にキリスト教カトリックが徹底されて強くなったのです。

その一方で、ファンダメンタリスト(fundamentalist)も増えていきます。

ファンダメンタリストとは、聖書に書いてあることをそのまま事実だと信じる人のことです。

具体的には聖書の奇跡のことです。
重病人が瞬時に治ったり、死んだ人が生き返ったり、人間が水の上を歩いたり・・とかです。

誰しも「そんな非科学的なことは起こりえないし、何かを象徴した表現ではないのか?」と言うと思うのですが、実は今でもアメリカなどでは高名な科学者などにもファンダメンタリストがいるのです。
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「奇蹟なんて科学的に起こりえない」と反論する人に、ファンダメンタリストは答えていう。

「自然法則なんて言ったところで、やはり神が作りたまいしものにすぎない。だから、神ならば自然法則を変更することもできれば、一時停止させることもできる。人間が水の上を歩いたとて、神が重力の法則を一時停止させたとすれば、少しもおかしくはないではないか」

ファンダメンタリストは、このように、合理的に考え抜いているのだから、反撃の手を緩めない。

「自然科学と言うが、今の自然科学の実験は、みんな不完全帰納法ではないか。今までやった実験では、ある特定の法則は成立しているけれど、実験をやらなかったところでは成立していないかも知れない。だとすれば、現代の人間が科学的常識としていない事態だってありうるではないか。」

「自然科学の法則にしても、あなた自身が実験で確かめられたわけではなく、自然科学者がいったことをあなたは信じている、これだけのことでしょう。自然科学の学説も、学問が進んで行くにつれて、それまで常識だったことが次々に否定されていっている。法則と言ったところで、要するに、今の時点では私はこの学者を信用しますということだけのことにすぎない。私は学者も信用しますが、それ以上に聖書を信じます。」


このような理論に誰が抗(あらが)えようか。


参考文献

日本人のための宗教原論―あなたを宗教はどう助けてくれるのか

日本人のための宗教原論―あなたを宗教はどう助けてくれるのか

  • 作者: 小室 直樹
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2000/07
  • メディア: 単行本




小室直樹「日本人のための宗教原論」
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ファンダメンタリストの危うさはこの下記の動画を見れば一発で分かります。
彼らがなぜ戦争支持者で、あのイラク戦争をしたブッシュ大統領、ひいてはアメリカ政治家の側に牧師(カトリックの呼び名)や神父(プロテスタントの呼び名)が多くいるのかがよく分かります。

Jesus Camp(ジーザス・キャンプ) 1/2
http://zoome.jp/UriginalForumCH/diary/4/
Jesus Camp(ジーザス・キャンプ) 2/2
http://zoome.jp/UriginalForumCH/diary/5/

アメリカはサイコパスが25人に1人と多いのも、アメリカ人の4人に1人がキリスト教原理主義である事実が大きく影響しているのではないかと思います。

特に、ジーザス・キャンプの1で取り上げられている「ルムシュプリンガ」の影響が大きいと思います。

キリスト教原理主義者は、16歳の時に快楽解放の行事(ルムシュプリンガ)があります。

このルムシュプリンガというのは”抑圧解放期間”です。

キリスト教で生まれ育つと、子どもの頃から、お酒も異性交遊も厳格に禁じられています。
しかし、16歳からのこの期間だけは、薬物もお酒も全て解禁し、16歳までの抑圧が全て解放されます。よって犯罪に走りやすいです。
売人から麻薬を手に入れるので、やったら最後、裏切ったら殺されます。
かなりアメリカ人の危ない期間です。

この期間は自分が自由に決めて良いです。つまり、一生ルムシュプリンガしてても良いです。

”しかし、その間は親と勘当状態(絶交)で、仕送りも一切なし”という条件があります。
つまり、親はその子を、自分の子とは見なしていません。

これは、遊び尽くしたらまた神の元に帰ってくるだろうという考えがあるためです。
アメリカ人にとって自分の子は自分の子という感覚は少なく、神の子だから、自立させなければという意志があるのです。

つまり家に帰らず、ルムシュプリガを一生続けると言うことは、自分で働かなくてはならないのです。
しかし、親元から離れるのでお金もなく、学歴も高卒で、大学へも行けません。
アメリカで高卒ということは一生ろくな仕事には有り付けません。

一生快楽を我慢して安全に暮らすか、

一生快楽を解放して自立して苦しくて不安定な仕事をするか、

・・という人生の二者択一を16歳で迫られることになります。

キリスト教は極端にこういう闇を、持ち合わせています。

例えば、Marilyn Mansonというゲドゲドしい格好をして反キリストを叫びミュージシャンのグループがありますが、彼らの歌の中に「俺は本当の神を憎んだことは一度も無いが、人々が崇める神は大嫌いだ」という歌詞があります。

つまり、ルムシュプリンガを風刺して、「神は別に悪くないが、人々に崇められる神(つまり、子を見放すような親が信仰している神)はクソ喰らえ」というワケです。

キリスト教の実体を知っていると、デーモン閣下のようなゲドゲドしい悪魔な格好をして反キリストを叫ぶ人たちの気持ちも分かってきます。

続きです。
理系・文系という分け方は間違っている!(4)〜魔女狩りとファンダメンタリスト〜
http://rextuseferu.seesaa.net/article/142849282.html
理系・文系という分け方は間違っている!(5)〜自然の創造が合理主義へ〜
http://rextuseferu.seesaa.net/article/142932468.html
理系・文系という分け方は間違っている!(5)〜自然の創造が合理主義へ〜
http://rextuseferu.seesaa.net/article/142932468.html
理系・文系という分け方は間違っている!(6)〜〜科学教という宗教は実在する〜〜
http://rextuseferu.seesaa.net/article/142945514.html








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posted by 時ニール at 22:29 | Comment(2) | TrackBack(0) | 思想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。髷サイコパスです。そうですねぇ。日本人は論理的な話より何より多数決を好みますから、過ちであっても万人受けする“常識”の方を優先させてしまうのかも知れませんね。
Posted by 髷サイコパス at 2010年11月25日 02:01
そうなんです。
実は論理的な話より「常識」、ひいては個人の「感情」を優先させるのが日本人なんです(´・ω・`)

それは日本が、ユダヤ教やイスラム教やキリスト教みたいに宗教を基盤とした徹底した論理が伝わってこなかったので、それに伴う弊害ですね。

島国ならではの、他国に攻められない安心感が感情を優先する集団意識を作り上げていますね。
Posted by 時ニール at 2010年12月02日 16:40
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